以前にも紹介しましたが、肩のトレーニングについて上級編としてまとめてみました。今回は筋肉の性質からアプローチをするやり方です。三角筋の解剖学的なことは以前の記事を参照下さい。
2種類の筋肉
三角筋は前、中、後ろと3つに分けることができます。この筋肉の性質は異なります。前側は平行筋、中部は羽状筋、後ろも平行筋となります。
中部の羽状筋が平行筋に挟まれた状態の筋肉が三角筋となります。平行筋は紡錘状筋とも言います。
平行筋と羽状筋の特性
平行筋は読んで字の如く筋線維が平行に走っています。特徴としては、1本の筋線維が縮む距離は、筋肉全体が縮む距離と同じです。例えば、筋線維が30%短くなれば、筋肉全体も30%短くなります。スピードが速いのも特徴の一つです。
羽状筋は、平行筋に比べて筋線維は短いので、1つ1つの筋線維が収縮した距離は、筋肉の全体の長さからするとほんのわずかな距離です。筋線維が1秒間に30%縮んでも、全体としては10%ほどしか短くなりません。収縮速度は平行筋の3分の1。筋線維が出したスピードが筋肉全体のスピードに反映されないため、羽状筋は平行筋よりスピードは遅くなります。しかし、羽状筋は筋繊維が短い分、多くの筋繊維が筋肉に詰まっています。
短い筋繊維が並列しているため平行筋より強い力を発揮することができます。つまり、スピードはないがより強い力が出せるのが羽状筋になります。
左が平行筋で右が羽状筋です。
サイドレイズは高回数ではなく低回数!
三角筋中部は羽状筋のため低回数で追い込むことが望まれます。肩のエクササイズで、一番最初に行うようにしましょう。フロントヘッドは胸のエクササイズで使い、リアは背中のエクササイズで使うため、サイドヘッドから行うことをお勧めします。
8回出来る重さでセットを組み3セットで追い込むようにすると効果的です。しかし、トレーニング歴が短い場合サイドヘッドに効かせることができてない場合があります。あくまでも上級者向けになります。初級者、中級者は低重量で高回数、ハイボリュームで行い、事前疲労を作ってから2セットだけ8レップスできる重さで行うといいでしょう。
インターバルは息が整い次第、次のセット行っても良いですがポイントは回数を落とさないように行うようにしましょう。1セット目に8回、2セット目に5回など回数を落とすのではなく8回できるようにしっかりとレストして下さい。もし5回で限界がきてしまった場合、10秒レストを挟み3レップスやるようにしましょう。
ダンベルサイドレイズの場合下まで下げきると負荷が完全に抜けてしまいます。そのためケーブルサイドレイズがお勧めです。
ケーブルがない場合はワンハンドでのダンベルサイドレイズでも構いません。とにかく負荷が抜けないように行って下さい。
フロントヘッドの種目
フロントヘッドは平行筋のためレップスのスピードと回数が重要です。レップス数は最低でも15レップス以上できる重量で行います。ダンベルショルダープレス20レップスを2セット、フロントレイズを20レップス2セット行います。ダンベルでなくマシンでも構いません。フロントは疲労が溜まりやすいので2種目2セットで行うことをお勧めします。
バックプレスはインピンジメントを引き起こすので行わないようにしましょう。
フロントプレスを行う場合、必ずバーをあごの下まで下ろしストレッチを効かせるようにしましょう。
リアヘッドの種目
リアもフロント同様で平行筋です。しっかりと伸展収縮を15レップス前後で行うようにしましょう。リアも背中のエクササイズで使うため疲労がたまりやすいので、2種目2セットで行うようにしましょう。
ポイントは、肩甲骨を広げたまま行うということです。エクササイズを行なっていると肩甲骨が寄ってきてしまいますが、広げる意識で行いましょう。
リアレイズは、下まで完全に下ろしてしまうと負荷が抜けてしまいます。下げ切らない可動域で行うようにしましょう。
今回は上級編として筋肉の性質上から見た肩のトレーニングを紹介しました。
「肩はハイレップスが効く」と聞きますが、確かに効きます。しかし低レップでも効きます。やり方次第です。短い時間で効率よくトレーニングを行うことで、筋肉を発達させることに繋がります。羽状筋と平行筋の性質を考えてトレーニングを行うことをお勧めします。