ゆっくり上げたり、早く上げたり、ゆっくり引いたり、早く引いたり、一体どれが正しいのでしょうか?本当に筋肥大に効果のある方法とは?
筋肥大を目的とした場合、レップスのスピードによってもたらされる効果に違いがあります。今回はこのレップスのスピードについてまとめてみました。
ヘビーデューティトレーニング(HDT)の考案者故マイクメンツアーは、HDTを徐々に進化させ、亡くなる前にはスローレップス法を推奨していました。このスローレップス法は4秒で下げて4秒であげるといったもので、ゆっくり上げ下げすることで筋肉中に疲労物質の乳酸などを溜め、脳から成長ホルモンの分泌を促すという方法です。
当時は成長ホルモンが筋肥大に大きな影響があると信じられていたため、この方法は効果があると信じられていましたが、近年では成長ホルモンと筋肥大は直接的に結びつかないことがわかってきています。
レップスのスピードを速くすると回数は多く出来ますが、スローにすると回数は少なくなります。速くあげようとするとそれなりに重量は扱えますが、スローであげようとすると重量は下がります。このようなことから、実際にはどのようなスピードで行うのが効果的なのかの実験を行なった研究データを紹介します。
この実験はレッグプレスで行なったのですが、被験者は2つのグループに分け、一つはスローレップスで行うグループ。もう一つは1秒で上げ1秒で下げるスピード重視のグループで行いました。実験では、どちらのグループもレップスが行えなくなるまで行いました。
数週間後に両グループの筋肉量を測定した結果、
スローレップスで行なったグループは筋肉量が約11%増加しましたが、1秒でレップスを行なったグループは約39%増加しました。これに似たような実験は他でも行われ、ベンチプレスで行なった実験や、バーベルプレスで行なった実験でも同じような結果が出ています。
ベンチプレスで行なった実験では、ベンチプレスの運動で使われる大胸筋の稼働率も調べ、スローよりもスピードで挙げたグループの方が、大胸筋の稼働率がスローのグループに比べ36%多かったことがわかっています。
この実験でもう一つわかったことは、スローレップスで行うことにより遅筋繊維が優位に働き、速筋線維が十分に稼働されなかったことがわかりました。つまり、スローレップスでは速筋線維に刺激を十分に遅れないためレップスはテンポよく速く上げ下げすることが良いということがわかっています。
何秒で行うのがいいのか?
これについての実験研究データもあります。1レップスにかかる合計時間が6秒を超える場合速筋繊維の稼働は下がり、10秒を超える場合はかなり下がります。3秒で挙げて3秒で下げる合計6秒のやり方と、1秒で挙げて1秒で下げる合計2秒のやり方では、1秒1秒の方が筋肥大に効果的とわかっています。
まとめ
レップのスピードは1秒1秒が良いと思います。しかし、筋肉をコントロールできない方が、このやり方を行う場合注意が必要です。1秒で下げる時に脱力して下げたりすると怪我をします。
1秒レップは中級者以上の方にオススメします。ゆっくり下げて、筋肉を動かす感覚を掴むために行うのであれば、4秒かけて下げたり挙げたりするのもアリです。